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板橋雅弘・作『8・9・10!』岩崎書店

岩崎書店から、板橋雅弘・作『8・9・10!』が出版されました!

 

装画と挿絵を担当した私もとても嬉しいです。

 

 

 

イラストレーターとして、この物語を読んでまず思ったことは

個性のはっきりしたこの登場人物たちをなるべくたくさん描きたい!でした。

それにそんな彼らが生活している日常の空間も。

 

キャラクターデザインは張り切りましたよ。

この物語を読んだ方は、

私が姿を想像する時に、一番むずかしい!と感じた人物は誰だったのか

すぐに分かりそうですね。

でもむずかしいと楽しくなるタイプなので、とてもわくわくして取り組みました。

 

 

主人公は小学4年生の女の子です。

彼女は髪型とそしてジャージにこだわりました。

 

ジャージはブックカバーにも登場していますね。

女の子で凝るところがジャージというのが

ちょっとおやっと思うかもしれませんが、

そんなところが愛おしい女の子です。

 

成長期まっさかりでどんどん服も小さくなっていくころですし

お母さんもとても忙しいので

こまめに洗濯できない時のために、

きっと替えのジャージが何着か必要だろうなと想像しましたが、

そんな時、きっと彼女のお母さんなら

かわいかったりかっこよかったりするものを

うまく見つけてきたりもするんだろうなというイメージで

いくつもジャージを描きました。

 

資料にするのにいろいろな服やジャージを見たりしていましたが、

ジャージベースのファッションもかわいいのがあるのですね。

そんなふうに資料を見ているのも楽しい時間でした。

 

髪型の方は、表紙の主人公の姿を見ていただくと察すると思いますが

ふわっとかわいい系の服は着ていません。

でもそれには彼女なりの理由があって、

おしゃれに無頓着というタイプではないのです。

そんな彼女は日によって違う髪型にしています。

 

お母さんと娘で本や動画でかわいい髪型を見つけ合ったりしてたら

かわいいなと想像してしまいます。

 

もう語るときりがないのでこのくらいにしますが、

イラストレーターとしても、とてもおもしろくやりがいを感じた

登場人物たちと物語です。

 

 

 

改めて、子どもの頃の自分だったら、

『8・9・10!』をどんな風に読むかなと思いだそうとしてみましたが

私が子どもだった時に読んでいた本には

こういう主人公はいなかったし、

今の時代の持つ感覚が違うので

なかなかイメージできませんでした。

 

そう思うと、

ぜひ現役で小学生をしている子には読んでほしいなと思います。

そして大きくなってからもまた本を開いてくれると嬉しいです。

 

 

 

○おまけ○

ここから以下は、もうとっくに子どもではなくなって

大人になって親になっている立場の私の個人的な感想です。

ネタバレはありませんので、

興味のある方が読んでくださったら嬉しいです。

 

 

大人目線で読むと、

おじさんのように子どもと接することができたら素晴らしいことだなと

思わずにいられません。

 

一人の人の好きなもの、考え方や人との接し方、世界の見方、心の在り方など

その人を形作る要素の半分以上がは

それまで関わってきた人や物事からの影響でできていると思うので

そんな中で、たくさんの子達にこんな出会いがあったらいいのに。

 

まだまだ自分というものが固まっていないような年齢の子のほうが、

逆に

他人の言葉の中から自分の心に引っかかるものをちゃんと選びとっていたり

自分の周りの世界から拾いあげる考え方や共感する箇所が

その子の持っている「自分らしさ」に忠実に素直だったりするという気がしています。

矛盾しているようだけれど、私は子どもについてそう思っています。

 

さて、そいういう年頃の子の前で、

私はおじさんのように接するどころか、

大人としてへんに取り繕ったり、守りのバリアを張らずに

きちんと…というか普通にありのままの自分でいることが

どれだけあるだろう…と振り返りました。

 

自信たっぷりで誰に何を言われても傷つかない自分はどこにもいなくて

聞かれたことや求められたことに応えられないことの多い

いたってふつうの自分しかいなくて、

そんなことべつに普通なのに、なぜかそれが至らないことのように感じてしまう

そんなことにとらわれて、

まっすぐ目の前の子に向き合ってないこともあるなと。

 

なので、私は逆にこの物語に背を押される気持ちになりました。

大人がしっかりしなくちゃなぁって。

 

大人でもそれぞれの感想がたくさん出てきそうな物語なので

親子で読んでみるのもおすすめです。

 

みなさんが素敵な読書の時間を過ごされますように。

 

 

 

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